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日本ソフトテニス連盟 さんが 2018年4月4日 に登録
2018年3月号③ 大会レポート②

A1水澤・村上 ④-1 A2濵田・大和崎
全29ポイント  18分
ラリー平均本数  4.53本

全ポイントのうち、エースは5p。他は誰かのミスで進行。これはエースを狙うのが困難なレベル同士の戦いでは、ミスを誘う攻撃を主体とするため。自らのミスを怖れず攻め続け、相手により多くのミスをさせる。水澤選手にローボレーミスが4本出たが、23p目以降、水澤・村上ペアはノーミスで攻めきった。濵田・大和崎ペアは果敢にチャレンジしたが1stサービスが2人とも33%だったことに加え、16失点中14点をミスで失い、途中でゲームを立て直せなかった点に差があった。

A2濵田・大和崎 0-④ A3篠原・小林
全22ポイント 11分
ラリー平均本数 3.23本

ボールがコート上を2往復しないうちに決着する展開の速さ。A2はミス9失点、A3のエース7本。A2は1stサービスの率をペアとしては上げた(48%)のだが、この日で引退を決めている気力充実の篠原選手に1stサービスを100%入れられて主導権を握られた。4G・22pを通じてエースは取れなかったが、ミスを誘い6pは取った。ミスが多い選手のはずがない訳で、厳しく反撃しようとしてミスさせられていた。日本代表主将を務めたA3ペアは風格で圧勝した

A1水澤・村上 ④-2 A3篠原・小林
全41ポイント(23-18)
ラリー平均本数 5.53本

勝者A1ペアはエース8本、ミス11本。対するA3はエース7本、ミス15本。技能に格差がない一流同士でしかも攻撃型並行陣同士の試合は、ミスを怖れぬ攻めの応酬になる傾向が顕著になる。その典型といえるか。ベテランが第1Gを制し、第2G、第3G、第5Gがデュースにもつれ、第4Gまでは交互に取り合いG2-2。世代交代を迫るペアが、第5G、第6Gを連取し寄り切った。

B1船水(雄太)・林 1-④ B2増田・九島
全40ポイント
ラリー平均本数 5.07本

各選手のエース本数-ミス本数と1stサービス率を数えると、船水選手0-6(70%)、林選手6-7(66%)、増田選手2-3(90%)、九島選手8-5(25%)。B1ペアが今ひとつ精彩を欠いていた。九島選手の勘所をおさえたネットプレー(ポーチとローボレー)が光った。14pを費やした第2Gで4本のボレーを決めた勝負勘が(相手前衛の2得点を上回り)流れを一気に引き寄せた。

B1船水(雄太)・林 ④-1 B3安藤・内田
全29ポイント 
ラリー平均本数  5.48本

B1ペアは2人ともオーバーヘッドのフラットサービスでそれぞれ60%と50%で道半ば。対するB3ペアは2人ともアンダーカットサービスでインドアに対応した戦術で臨んだが、入った確率は36%と80%。1stサービスの確率に関しては内田選手に軍配があがったが、いかんせん第2サーバーは第1サーバーの6割前後しかサービスする番が回らない。加えてB1ペアのエンジンが漸く回転数を上げ、ミスは2人合わせても3本。エースが後衛のネットイン2本にアタック1本、前衛のポーチ3本にレシーブエース2本。そこへ相手ペアのミスが後衛8本、前衛のネットミスが4本。大学生の東日本王者ペアを、広島に就職した社会人ペアが圧倒した

B2増田・九島 3-④ B3安藤・内田
全68ポイント
ラリー平均本数  5.61本

時間の計測を担当部員が失念するほど熱い死闘のファイナル。第7Gは15-17。エース-ミス(1stサービスの確率)は選手別に、増田選手2-8(90%)、九島選手7-7(33%)、安藤選手6-16(68%)、内田選手6-7(85%)。内田選手は第7Gの1stサービスを8/8=100%入れたが得点には50%しか結びつかなかった。15-15までシーソーでもつれたが、ラスト2pが相手前衛のセカンドサービスとなり、後衛ストロークのネットインでマッチポイント。最後はレシーブアタックで決着した。
エース本数をペア毎に数えるとB2が9p、B3が12p。一方、ネットミスはB2から7pを奪い、B3から11pを奪った。計18pをネットという第5のプレーヤーが得点した。雁行陣の高校生に対してはこの数字を挙げてコーチングに使う数字だが、攻撃的並行陣の一流同士が対戦すると高さを付けたシュートが一番狙われるため、虚を突いて足もとに沈める球をバックハンドのローまたは外アングル、又は2人の間へ落とすか、コードボール=ネットインに近い高さを攻めるか、に限定されて、勢いネットが増えることになる。落とすゆるい球も読まれると叩かれる。この18本のネットはほとんどUEではなく、必然があった。
よほどスローで再生しないと互いが何を予測し、予測を読み合ったか、何を避けようとしたかを見落とす圧倒される内容だった。あれほどの選手でもローボレーでの反撃はあんなに難しいのだと再認識。どの試合も濃厚さは同じだったが。UEがとにかく少ないこと、これがファンを魅了するプレーなのだろう。

C1本倉・丸山 ④-1 C2岩﨑・原
  全31ポイント 17分
ラリー平均本数  4.64本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、C1(雁行陣)3-5(75%)、6-2(66%)。C2(攻撃型並行陣)1-4(88%)、2-5(50%)。雁行陣の丸山選手の6-2が際立つが、ボレーでは一得点にとどまり、ロビングで2点、最後はマッチから狙って取ったサービスエース。勝ちパターンの引き出しは多い。女子で炸裂している広島戦術に習熟しているはずの岩﨑・原ペアが、雁行陣を相手にフォアのミスを量産(2人で計9本)し精彩を欠いたのは意外だった。丸山選手のロビングで抜かれ、本倉選手にもパッシングされ、対応力に課題を残した、と高校生がメモしている。

C2岩﨑・原 2-④ C3上岡・広岡
全54ポイント 33分
ラリー平均本数  5.37本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、岩﨑選手3-9( 77%)、原選手2-8(50%)、上岡選手3-10(66%)、広岡選手6-5(75%)。サービスを細かく見ると4者4様で、1stサービスは4人ともアンダーカット。2ndサービスは岩﨑選手と広岡選手がアンダーカット。原選手と上岡選手は上から。C3上岡・広岡ペアは陣型もサービスが2ndになったら雁行陣、広岡選手の1st時は並行陣、上岡の1st時は両様あり、とパターンはあるが変幻自在。フリー陣型への発展途上形の観があった。ポイント毎に陣型が変化するとなると、記録用紙の様式も更新を余儀なくされる。男子の対戦には珍しく、ラリー10本を越えるポイントが6本あった。デュースG3つを経て33分の熱闘。この試合の平均ラリー数は5.37本。男子としては、じっくり展開が見られる対戦となった。それでもボールは3往復しないうちにポイントは決着する。その厳しさ、速さ、推して知るべし。

CC1本倉・丸山 1-④ C3上岡・広岡
全31ポイント 23分
ラリー平均本数  4.44本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、C1が2-8(50%)と2-5(30%)。 C3が 5-4(55%)と1-3(100%)。広岡選手の1stサービス率に注目。4本しかサービスしていないが、その4p全てを得点に結びつけた。ボレーを決めた得点は直接のプレー自体は1ポイントだけだが、5本のエースを挙げた上岡選手とのコンビは阿吽の呼吸のレベル。予選で先輩を斥け、ベスト4進出を果たした。

D1丸中・長江 ④-1 D2桂・高月
全32ポイント 22分
  ラリー平均本数  5.03本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、D1が5-4(100%)と3-5(100%)。D2が0-2(50%)と4-9(87%)。攻撃型並行陣同士のボレーボレー合戦。丸中・長江ペアはキレのいい小気味よいプレーで魅了する。鋭いカットサービスからの多彩な攻撃。第5G冒頭からの3p連続のエース(ボレー2本)が圧巻。高月選手は前で6本、全部で14本に触ったが4得点、敵に取られた16pのうち10pを献上したのは桂選手を盛り立てようとして頑張りすぎたか。ボールを浮かせると即失点につながるため、ギリギリの高さを通さねばならず、またしてもネットが計11pを両ペアから奪い、世界最強の前衛であることを証明した。

D2桂・高月 2-④ D3船水(颯人)・上松
全42ポイント 34分 
ラリー平均本数  4.92本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、D2が2-6(71%)と7-8(87%)。D3は2-7(58%)と7-3(75%)。インターハイのファンにはこれもまた超がつく垂涎の対戦だった。第2G、第3Gのデュースを制した船水・上松ペアに軍配。後半、ようやく高月選手のエンジンがうなりを上げ、第4G、第5Gで4本のボレーとスマッシュのポイントを荒稼ぎしたが、桂選手ともども、第1G~3Gの間にミスを連発し(4p,7p)Gカウントを0-3と一気に荒らしてしまった分を取り返しきれなかった。2-3まで追いすがって競っていただけに惜しまれる。

D1丸中・長江 ④-1 D3船水(颯人)・上松
全32ポイント 
ラリー平均本数 4.23本

選手別のエース-ミス(1stサービス率)は、D1が3-7(100%)と2-3(100%)。D3は0-6(66%)と1-6(50%)。船水(颯)・上松ペアの12pのミスはUEでなく必然性があったことをかれらの名誉のために触れておくべきだろう。D1ペアのサービスは20cm程度しか跳ねず反撃不能のサービスが100%入るわけで、一方、D3ペアの1stサービスは入っても得点につながらなかった。反撃の機をうかがい、すばやく繰り出したパンチがことごとく相手コートに刺さらなかった。

▽準決勝

A1水澤・村上 1-⑤ B2増田・九島
全39ポイント 22分
ゲームカウントと各Gのラリー平均本数
3-⑤(3.4) ④-1(4.0) 2-④(2.2) 0-④(4.5) 2-④(5.7) 4-⑥(4.3)
全Gの平均 3.87本
選手別のエース-ミス(1stサービスが入った確率) 水澤6-5(1st.サービス82%) 村上1-6(63%) 増田2-3(67%) 九島5-3(63%)
項目は以下同

ダブル前衛(攻撃型並行陣)同士の電光石火の瞬間的駆け引きは、第1Gに誰のエースもなく、第2Gが終わりG1-1まで互角。第3Gの2p目、増田選手のDF(ダブルフォールト)で2点差の劣勢となったところで、逆に増田・九島ペアのスイッチが入り、そこから19p連続ノーミスの上に九島選手が動いて6pのエースを量産。第3Gの3p目からなんと10pを連取。第3G、第4G、第5Gを取って王手。この間12点を取り、相手に2pしか与えなかった。第6Gは村上・水澤ペアが決死の反撃を挑み4-4まで意地を見せたが、増田選手がボレー合戦の8本目をフォアでセンターを割ってマッチポイント。最後は村上選手の1stサービスで始まったが、九島選手のよくドライブがかかったレシーブを、村上選手がバックでローボレーした打球が流し方向へサイドアウトして力尽きた。どちらも獅子奮迅。


DC3 上岡・広岡 3-⑤ D1 丸中/長江
全41ポイント 23分
2-④(3.83) ④-0(4.5) 2-④(4.0) 1-④(4.4) ④-1(3.4) 0-④(5.25) ④-2(6.83) 1-④(4.6)
上岡1-8(78%) 広岡2-8(75%) 丸中1-12(100%) 長江3-2(100%)

上岡・広岡ペアの陣型の工夫については、本稿冒頭の陣型についてに詳述している。選手別集計欄の丸中・長江ペアにご注目を。ペア2人ともに1stサービスを予選から準決勝まで100%の確率で入れ続けた上での話である。意図的に傾斜させられた回転軸で高回転しつつ90゜近く横へ(右利きレシーバーなら身体の側へ)床上25~30cmしか弾まず、返球するにはラケットフェイスを横面でボールの芯の下へ入れなければならない。しかも、長江選手は攻撃型並行陣で闘いながら、エース本数がミスのそれを上回る内容を残している。鬼神の奮闘ぶり。丸中選手のミスが12本あるが、内容的にはサイドアウトは1本だけで、バックアウト8本のうち4本がセンター攻撃を仕掛けてのバックアウト。これはダブル前衛の間を割ろうとしたり、揺さぶりをかけようと企図したゆえのもの。ネットに3本かけたのは、相手にローボレーをさせようとしたものと思われる。総得点は20点(相手のミスが16点)対17点(相手のミス14点)。ゲームも取って取られての繰り返しだったが、第2G、第3Gを連取した分、勝者がリードを死守した。

▽決勝

B2増田・九島 1-⑤ D1丸中・長江
全38ポイント 35分
4-⑥(3.2) 0-④(4.25) 1-④(5.4) ④-0(3.25) 4-⑥(5.0) 1-④(3.4)
増田0-5(57%)  九島4-9(50%)  丸中5-2(73%)  長江10-8(80%)

双方ともダブルフォワード。この日、ペア2人と1stサービスの入る確率が100%を誇ってきた丸中選手が、いきなりダブルフォールトから決勝に入ったため会場が少しどよめいた。2ポイント目も1stが入らず、センターをパスしようとしてバックアウト。しかしそこからは動揺せず、長江選手が2p、続けて丸中選手も1stを2pとも入れて3pを連取、流れを取り戻してからが強い。相手のミス5本、自分たちのエース3本で丸中・長江ペアが立て続けに第3Gまでを連取した。第4Gはミス3本で相手に与えたが、第5Gのデュースを思い切ったスマッシュと相手のボレーネットで制して一気に勝利を引き寄せた。八面六臂の奮闘を続けて来た九島選手のダブルフォールトでマッチポイントを握り、最後は長江選手が4本目をバックボレーの引っ張りでエースを奪い、優勝を決めた。

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