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日本ソフトテニス連盟 さんが 2018年4月4日 に登録
2018年3月号④ 大会レポート③

A1林田・宮下 ④-0 A2上野・吉田(澪)
全32ポイント 25分
⑦-5(4.15) ④-2(6.33) ⑤-3(5.57) ④-2(5.5)
林田1-6(80%) 宮下3-3(70%) 上野2-9(88%) 吉田1-7(25%)

林田・宮下ペアは、この半世紀で最強の高校生ペアと言われる。インターハイ個人戦で2連覇。のみならず全カテゴリー含めた女王を決める皇后杯も優勝。高校生が優勝したのは1950年以来の67年ぶり。この東京から来た女王に、地元大阪の一番手にしてインターハイ3位の上野・吉田ペアが挑んだ。第1Gこそデュースが3度ともつれたが、挑戦者の前衛のボレーがネットして女王が先制した。全4ゲーム、32ポイントを通じてエースはわずかに東京4本、大阪3本(うち1本はネットイン)。チャレンジャーの冒険ゆえか大阪のミスが16本(東京の得点20点のうち16点を献上してしまった)と予想より多くなり、力の差よりも開いた一方的なスコアになった。

A2上野・吉田 0-④ A3貝瀬・黒田
  全24ポイント  22分
2-④(6.33) 1-④(4.0) 3-⑤(6.71) 1-④(8.2) 平均6.31本
上野1-8(67%)  吉田2-3(25%) 貝瀬3-3(75%)  黒田3-1(17%)

大阪の高校1位と、かつて14歳で全日本メンバーに選ばれ、今春成人する貝瀬選手。昨年の皇后杯3位同士の対決。第1G、第2Gは貝瀬側のエース、大阪側のミスで進行。第3Gの1stサービスは貝瀬選手が50%、黒田選手が0%でつけいる隙がありデュースにはなった。しかし、終盤にかけて上野選手が力んだか、バックアウト5本(+サイドアウト1本)を連発した。4Gの得失点に貝瀬・黒田ペアは何にも絡んでいない。相手の力みを見極め、自滅を誘ったように見える記録。

A1林田・宮下 ④-2 A3貝瀬・黒田
全38ポイント 31分 
4-⑥(5.1) ④-1(5.17) 1-④(4.4) ④-2(8.5) ④-2(6.5) ④-1(5.2)  平均5.81本
林田5-7(77%)  宮下3-6(75%)  貝瀬2-10(73%)  黒田2-3(100%)

これも皇后杯1位対3位。贅沢な組み合わせ。地獄のリーグ戦という様相。第1Gはデュースから始まって、Gカウント2-2まで相手に連続得点をさせないシーソーゲームになった。しかし、第3Gあたりから貝瀬選手のミスが8p(サイドアウトが5p)と予想外の乱調になった。名手宮下選手も9本触ってエース3本は前衛として機能していたが、ボレーネットが5本というのは、よほど厳しい球を受けたか、実績を考えるとよほど乱調を来したのだろうか。第4Gの終盤以降、急にラリーが長くなった(23本、7本、10本、11本。第3Gのラリー数は4.4本。第4Gは8.5本。第5Gは6.5本。)のは、4選手ともここでじっくり駆け引きして仕掛けなおし、主導権を引き寄せようというプランを描いていたことを思わせる。この「チェンジ・オブ・ペース」は学ぶべきプレーと思われた。

B1小谷・大槻 ④-1 B2大井・吉田(栞) 
全38ポイント
④-2(6.76) ④-2(6.33) 3-⑤(6.62) ⑦-5(4.67) ④-2(6.67)
小谷2-6(75%)  大槻9-1(87%)  大井3-8(90%)  吉田4-4(75%)

雁行陣同士。大槻選手と大井選手は上から1stサービス。各Gに必ず1pは10本以上ラリーが続く山場のポイントがあった。第4Gが山。大槻選手のエース9本-ミス1本が光る。フォアの得点時の打球方向は引っ張り5本、流し2本。どうやらスマッシュも含めてフォアの引っ張りにかなりの確信があるのではないだろうか。大井のストロークがやや乱調だったか。

B2大井・吉田(栞) 2-④ B3笠井・尾上
全35ポイント 
④-1(7.8) 0-④(3.75) 4-⑥(7.6) 0-④(5.25) ④-2(7.83) 1-④(5.5)
大井0-9(81%)  吉田7-3(50%)  笠井5-3(75%) 尾上4-4(66%)

大井選手は乱調収まらずエース無しのミス9本。フォア2方向と、バックの引っ張りをミスした。吉田選手は7本のエースを奪ってよく支えていたが。1stサービスの確率が上がらず2Gを奪って力尽きた。笠井選手は好機を見逃さず打って、またぶつけていく。エース5本は、今回の女子ストローカーの中で傑出していた。

B1小谷・大槻 1-④ B3笠井・尾上 
全31ポイント
1-④(4.0) 1-④(6.75) 1-④(4.0) ⑤-3(5.63) 1-④(4.83)
小谷1-9(20%)  大槻3-7(50%)  笠井1-5(66%) 尾上3-2(71%) 

大槻選手と笠井選手は頭上からのサービス。冒頭の2pから日体大ペア(笠井・尾上ペア)が連取して押し気味に始まり、相手に1点ずつしか取らせず3Gを連取してワンサイドなゲームカウントに持ち込んだ。日体大ペアが12点取る間に、小谷・大槻ペアは計3点しか返せなかった。しかし、記録員が「ミスが両者とも目立ったが勝者は相手のミスを待つ賢さがあった」と。合計31pを闘ったうち、21pは誰かのミスで進行した。

C1髙橋・半谷 ④-1 C2西岡・古田
全50ポイント 37分
0-④(4.5) ⑨-7(4.63) ⑥-4(8.1) ⑤-3(3.25) ⑥-4(4.6)  ラリー平均本数5.76本
髙橋6-5(66%) 半谷10-6(50%) 西岡5-2(78%) 古田6-8(70%)

第1Gは髙橋選手がネット2、サイドアウト1の計3p。半谷選手もレシーブをバックアウト。西岡・古田ペアはエース無しでゲームをものにした。第2Gは両者の集中力が高まり、一挙に緊張したシーソーゲームになった。なんと5度のデュースを繰り返し、どんぐり北広島の半谷選手が5本触って3本を決め、関大の古田選手も4本触って2本を決め、互いに譲らなかった。しかし、このGでノーミスの髙橋選手がエースでポイントを握り、西岡選手の自信のあるフォアの流しがサイドアウトでGカウント1-1。以降、全てのゲームでデュースにもつれたが、ことごとくどんぐりペアが制した。第3Gのラスト3pをスマッシュとストロークで連続得点した前衛の半谷選手に対して、関大の前衛の古田選手は第5Gのラスト3pをストロークとボレーで連続失点したのが対照的だった。昨年の本大会の覇者に対して、チャレンジャーとして向かっていったが裏目に出たか。半谷選手のフォアでの得点時の打球方向が、1:8の率で流しの方向に偏りがあったのは自信の表れだろうか。相手コートのオープンスペースがたまたまそちらにあったのか。前衛が触りすぎた感じの数字だが、ペアの事情や特性もあるので一概には言えまい。

C2西岡・古田 1-④ C3森田・神谷 
全31ポイント 28分
4-⑥(4.7) 0-④(4.0) 1-④(5.6) ④-2(8.67) 2-④(8.33)
西岡0-6(76%)  古田2-8(62%)  森田2-5(66%)  神谷4-4(75%)

西岡選手は上からの横回転サービス。第3G終盤まで関大ペア(西岡・古田ペア)にエースは1pもなく、ミスで10pを献上してしまった。28p目にして古田選手のスマッシュが決まった。34p目にもボレーを決める。第2Gあたりで西岡選手がラリーの2~4本目と若い本数の段階で3p連続でバックアウトしてしまったのも、流れを渡した結果につながったか。

C1髙橋・半谷 ④-0 C3森田・神谷 
全40ポイント 33分
④-2(4.5) ⑤-3(6.5) ⑦-5(6.33) ⑧-6(6.64)  ラリーの平均本数 5.99本
髙橋6-4(91%)  半谷9-7(80%)  森田0-4(80%)  神谷5-5(75%)

髙橋・半谷ペアのエースの数が特筆に価しよう。これがミスを怖れず攻め続ける、現代の攻撃型テニスの現在の現実的理想型なのではないか。右のヨネックスペアと見比べると、ミスも相手より多い。だが、それ以上のエースを奪って圧倒する。2人合わせて16pのミスがあれば、7Gマッチの1試合分の失点である。勝利に要した24pのうち15pをエースで、残りを相手のミスでもらって勝利。40pを戦ったうち、2人合わせて26pで最後に触っている。得点になってもぎりぎりで失点しても、この球を決めに行く、この球で崩す、その次を決めるという熱が常にある。数字だけを見ると森田選手は前衛のために整え、アプローチする(相手を崩す)ことを本務としている。トラッドなストローカーとしては一流であることを示す値が出ている。マルチな2人が一歩でも前から攻撃。中本監督の燃える瞳が目に浮かぶ。

D1徳川・黑木 ④-2 D2齋藤・元村 
全30ポイント 23分
④-1(4.0) ④-0(6.8) 1-④(7.2) ④-1(5.0) 1-④(4.6) ④-2(6.0)  ラリーの平均本数 6.43本
徳川2-4(100%)  黑木4-3(83%)  齋藤2-2(63%) 元村3-9(83%) 

4選手の1stサービスの入る確率にご注目。1つのお手本になる。試合の入り方として徳川・黑木ペアは理想的な形がとれた。エース3本を含む8pを取り、相手には1点しか与えなかった。エース3本、相手のミス5本。省力である。G3-2まで食らい下がられながら要所を締められた。黑木選手の4本のエースと相手前衛の元村選手のネット5本(ミスは9本)が響いた。フォローなど対応力は高いペアで、齋藤選手のフォアストロークの流しでエース2本など、武器は豊富なので捲土重来に期待したい。

D2齋藤・元村 2-④ D3中川・柴崎 
33分 
3-⑤(9.0) 2-④(9.6) ④-0(7.5) ④-2(7.0) 2-④(6.5) 0-④(4.8)  ラリーの平均本数 7.4本
齋藤2-7(70%) 元村3-4(75%) 中川3-5(90%) 柴崎6-3(82%)

西日本選手権1位対東日本選手権3位。社会人対決。年齢的にまだ大学生のエネルギッシュでスピーディな対決かというと逆。ラリーは他の対戦より長めで、雁行陣の対決。後衛がじっくり整え、相手後衛を前後にゆさぶり、左右に振ったりする一方でセンターへのロビングで前衛が仕掛けやすい場面を多く(「センターセオリー」を想起したと記録している)したり、記録にあたった高校生もプレーヤーの意図が理解できて、こうやって前衛に仕掛けてもらうのだとワクワクした旨をメモしている。Gカウント2-2からアタックを含む多彩な攻撃で揺さぶりをかけながら、たたみかけて勝機をものにした中川・柴崎ペアに軍配。

D1徳川・黑木 ④-1 D3中川・柴崎
1-④(4.8) ⑤-3(6.0) ⑤-3(5.3) ④-2(8.1) ⑤-3(7.3)  ラリーの平均本数 6.3本
徳川1-10(100%)  黑木4-1(60%)  中川10-2(83%)  柴崎2-8(70%)

黑木選手と中川選手は上から1stサービス。徳川選手は、この全ての試合で1stサービスの入る確率100%を維持した。ぜひ学生の皆さんはお手本にしてもらいたい。ミスの内容にも偏りがなく、狙い、作戦的にも技術的にも問題がないことを証明している。黑木選手は第2G~第4Gはラリー終了が早すぎて(ほとんどが4本目までに終わるので)仕掛ける暇がなく触れないでいたが、第5Gでラリーが長くなったときに3本触って、全て得点している辺りはさすがの戦略家。全体を見渡すと第2Gの5p目に(ここまでは中川・柴崎ペアが7-2でリード)潮目の変化があったか。ここから中川・柴崎ペアが4連続ミスの失点でゲームを献上した。第3Gは、なんと両ペアともエース無きままデュースにもつれ、徳川・黑木ペアが取ったが、このゲームの最後まで全てのポイントがミスで進むという超攻撃のスタイルを両者が貫いた。中高生の皆さん、この背景には相手のミスを誘う、互いのすさまじい与圧があったのです。アンフォースト・エラーでなく、フォースト・エラーすなわち必然性があるミスが大半なのです。

▽準決勝

A1林田・宮下 3-⑤ B3 笠井・尾上
2-④(4.7) ④-1(5.2) 2-④(4.5) 5-⑦(5.8) 4-⑥(5.9) ④-1(8.5) ④-2(5.0) 2-④(6.3)  ラリーの平均本数 .7本
林田3-10(93%)  宮下5-5(80%)  笠井6-8(64%) 尾上8-11(71%)

林田選手のエース3本は全てフォアの引っ張り。ミス10本中5本も引っ張り、フォア・バック合わせてネットが6本。引っ張り方向に確信を持って低い打球を打つ偏りがありはしないか。偏りは結局狙われる。前衛サイドへのパスを4本放ったのは敢闘精神か、皇后杯女王のプライドか。この4本に限って結果を見ると2勝2敗の五分だった。宮下選手のエース5本は見事。笠井・尾上ペアのエースは、多彩なショットをこなし偏りなく得点している。バックの流しでのエースはないが、一般的にそうなる。尾上選手の触る数字は多い気もするが、エンジン全開で攻撃を続けた結果と思われる。攻撃の手を緩めれば一気に反撃されることを知り、年下だが格上と考えての戦略だったのだろうか。攻めきった日体大ペアが決勝に進んだ。皇后杯の女王を倒しての決勝進出は、武者震いがしたことだろう。


C1髙橋・半谷 ⑤-0 D1徳川・黑木
④-2(6.7)  ④-2(3.5) ⑤-3(6.0) ④-2(3.5) ④-2(4.0)  ラリーの平均本数 4.7本
髙橋3-2(50%) 半谷1-4(75%) 徳川2-10(66%) 黒木3-7(62%)

予選で1stサービスの入る確率が00%だった徳川選手が、如66%まで落とした上にダブルフォールト3本の乱調。ミス10本もらしくないが、第1Gで異変を察知してカバーしようとした黑木選手も第2Gで3失点。第5Gまでにサイドアウト4本(引っ張り2本、流し2本)となったのは、髙橋・半谷ペアのコートカバーリングのわずかな隙を狙わざるを得なかったためか。一方で前に詰めるなど攻めきった髙橋・半谷ペアは、前述のようにクロス毎にサービスの位置を変えていた。陣型も臨機応変で予断を許さない多彩な攻撃パターンを打ち合わせる暇もなく繰り出すところに成熟し練りあがったペアリングの妙技があった。

▽決勝

B3 笠井・尾上 1-⑤ C1髙橋・半谷
全35ポイント 28分
1-④(4.4) 2-④(4.8) 3-⑤(6.3) ④-1(4.8) 2-④(5.8) 0-④(4.8)  ラリーの平均本数 5.14本
笠井2-4(83%)  尾上0-7(62%) 髙橋7-6(58%)  半谷4-3(50%)

皇后杯準優勝の髙橋・半谷ペアが「横綱相撲」のように大会2連覇を成し遂げた。優勝ペアは獲得した22pのうち、2人で計11pのエースを各ゲーム毎に奪い、リズムに乗って勢いづいた。日体大ペアは笠井選手のセンター攻撃ストロークでの2エースのみ。尾上選手の7本(+笠井選手3本)のネットミスは、勝者ペアのポジションによる攻撃の激しさを物語っていよう。年度の最後に女王が復活して意地を見せた大会となった。

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