アンダー17女子監督 髙井 志保
国際大会での精神的な課題として感じた「切り替えの早さ」
これから日本代表を目指すアンダー選手にとって、海外に行って実際にその経験をすることは強化としてもとても勉強になるし、また日本と違う気候、食事、空気、文化など若い世代の彼らにとって学ぶことが数多くあります。
そしてアンダー20の選手にはコートサーフェスや海外の選手のプレーや戦術を体感する以外にも、自分が今後どのようにソフトテニスと向き合っていくかのヒントが見つかればよいと思い、宿舎について今回の遠征のテーマにと、ひとつ話をしました。
空港からホテルに向かう途中、車の中からフィリピンの街並みを見て、『明日を生きる』ために今日をエネルギッシュに過ごすパワーを感じました。
たまたま日本に生まれた私達は『明日をどう生きるか』を選択していく環境にあり、その環境に生まれた私達がしていくべきは、『どう生きるのか』を決め、そうなるためにその都度、正しく選択していくこと。ソフトテニスの選手でいえば、どうソフトテニスと向き合い、どうなっていきたいのか、ただ流されて過ごしていくのではなく、自ら選んで進んでいく。宿舎に着いて、まずこの話を選手と行い、遠征がスタートしました。
大会初日、華やかな開会式の後、シングルスの予選リーグ(5~7人のリーグ戦、マッチは5ゲーム)と準々決勝、ダブルスの予選リーグ2試合(7ゲーム)が行われた。
日本は男女ともシングルス、ダブルスとも予選リーグ1位で通過となったが、フィリピンもカンボジアも硬式テニススタイルをソフトテニスに進化させたプレーと戦術で、特に男子はフィジカルも強く、楽勝とはいかない試合もありました。
技術面ではバックハンドから繰り出される多彩な球種、スタンスを大きくとったストレートパス、パワーのあるサーブなどが日本の失点の起点になっていました。
フットワークについては、特にショートボールを砂入り人工芝コートで細かいステップから球際でスライドさせて取る癖がついているので、打点に寄り切れず攻め返せない場面がみられるなど課題が浮き彫りになりました。
そして、何より今回の敵は湿度でした。時折降る雨の影響もあってか湿度がかなり高く(コートは屋内)、薄いラケット面では球が浮いてしまいウイニングショットでサイドアウトやバックアウトが多く見られました。合宿などで今後、ボールをわざと濡らすなどして対策を取っていくことも必要かと感じました。
翌日からは、シングルスの準決勝、決勝、ダブルスの準決勝、決勝、チーム対抗戦が行われ、結果は男女ともシングルスは優勝と3位、(準決勝で日本選手同士の対戦)、ダブルスは優勝、チーム対抗戦も優勝しました。
1人15試合のタイトなスケジュール、2日目は午後10時半にまで試合が及びましたが選手達は最後まで集中力を切らさずプレーし、素晴らしいファイトを見せてくれました。
最後に国際大会での精神的な課題として感じたのが、『切り替えの早さ』でした。
海外の選手はある意味でイレギュラーな出来事への心の受け入れが幅広く、普段の生活でもわりとイレギュラーなことが起こり得るのだろう、
「仕方ない」と受け入れ、今できることをやる、「仕方がない」という気持ちのせいで諦めが早い場面も見られるが、迷いはあまり感じられませんでした。
日本選手は諦めることは美学に反するのかあまりしませんが、普段わりとルールが守られている生活のせいで少し気になることがあると受け入れられず引きずってしまう場面が多く見られました。
国際大会はイレギュラーなことの連続であるから、切り替えのスピード感、受け入れ立ち向かう心の広さと強さは必須であると感じました。
選手たちはそれぞれ本当に魅力的で楽しみな選手ばかりです。今回の遠征を通じて感じたこと、学んだことを忘れずソフトテニスと向き合い、自ら選択して自分の理想の将来に向けて突き進んで欲しいと思います。
フィリピン連盟をはじめ、このような機会を与えて下さった関係者の方々、心よりお礼申し上げます。
■外国と日本の選手のプレースタイルに違いを感じた
本倉健太郎(明治大学)
僕がフィリピン大学ソフトテニス選手権大会に参加して感じたことは、日本の選手と外国の選手のプレースタイルの違いです。今回対戦したフィリピンとカンボジアの選手は硬式テニスのような打ち方の選手が多く、打ってくるところを予測するのがとても難しかったです。
またダブルスでは1試合の中で色々な陣形を取ってくるので日本とは違うと感じました。
今回の経験をいかし、どんな陣形にも対応できるよう意識していきたいと思いました。
■ハードコートに慣れていた海外選手の多彩な攻めに苦しんだ
内田理久(早稲田大学)
11月9日から12日にかけてフィリピンで行われたフィリピン大学ソフトテニス選手権に参加をさせていただきました。
フィリピンとカンボジアはどちらの国もハードコートに慣れており、軽やかなフットワーク、カットストロークなどの多彩な攻めに苦しみました。これからはそのような状況を想定して練習していきたいです。
また、今回の遠征をサポートしてくださった野際専務理事、髙井監督をはじめたくさんの方々に感謝して今後も頑張りたいと思います。
■イレギュラーなことを受け入れ、対応する力が必要だと学んだ
笠井佑樹(日本体育大学)
今回の大会ではイレギュラーな事が数多くあり、海外の試合は何が起こるのか全く想像もつかなくて、びっくりしました。試合では、それを受け入れて、またそれに対応せねばならず、その力が必要なことを学びました。
また、海外の選手はハードコートに慣れているのでフォロー力がすごく、なかなかポイントに繋がらない事がありました。
ハードコートで普段練習していないので今回の大会で、ハードコートでの課題を見つけたのですごく良い勉強になりました。
■どんな陣形にも対応でき、こちらから仕掛けられる力をつけていきたい
上田理央(明治大学)
今回フィリピンで行われた国際大会では多くの経験ができました。
戦術面では、1試合の中で相手の陣形が雁行陣、並行陣、ダブルフォワードと変えてこられたので、最初は自分達のテニスができませんでした。これからは序盤からどんな陣形でも対応でき、どんどん仕掛けられるような力をつけていきたいと思いました。
5日間でしたがテニスだけでなく世界を勉強することができました。ありがとうございました。
記事提供:日本ソフトテニス連盟<機関紙2017年12月号より>
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