◆選手たちの総合的な強さを感じられ、とても誇らしく感じたと同時に全てに対して感謝
女子監督 篠原 和隆
8月23日から29日まで中国・湖南省の長沙市において行われた日・韓・中交流競技会に男女それぞれ6名が出場した。女子は藤城、平岡、白崎、赤川、水澤、鈴木でチームを構成。大会事前合宿を20日から22日まで横浜桐蔭学園で行い、ハードコートで行われる大会に向けての調整と、ペアリングの確認をした。コートや練習の準備を桐蔭学園の先生、コーチ、選手に気を配っていただき、スムーズに気持ちよく調整することができた。普段はしのぎを削り合うライバルと同じチームの仲間として試合に挑むことを大きなモチベーションにしているチームで、前向きなエネルギーは高いパフォーマンスの発揮を予感させた。
23日、朝6時前泊のホテルを出発し、羽田空港へ。北京空港で乗り換え長沙空港へ。到着は夜となり、丸1日をかけての移動となった。いつもと違う疲労感を感じ、国際大会であることの認識が高まるとともに大きな疲労感を感じた。
24日、公開練習及び開会式が行われた。午前中は試合会場での練習。練習してきたサーフェスにはだいぶ慣れ、違和感なくフットワークをこなせていた。しかし、気候が思ったよりも日差しが強く蒸し暑かった。真夏の大会をこなし、慣れてきている選手たちではあるが、体力の消耗は大きく、試合でのパフォーマンス発揮には注意が必要であると感じた。午後は開会式。会場に向かうバスでの道のりは、信号に一度も止まらず、警察の先導での移動であった。渋滞している車を尻目に颯爽と会場へ向かった。国賓級の手厚い歓迎ぶりに驚き、国の代表であることの自覚をさらに強く持った。歓迎アトラクションも盛りだくさんで、圧倒させられるほどの素晴らしいものであった。競技会の大きさを感じ、さらに試合でパフォーマンス発揮することが楽しみに感じられた。
25日、競技開始。初戦から勝負の山である韓国戦。1番(ダブルス)鈴木・白崎ペア、2番(シングルス)水澤、3番(ダブルス)赤川・平岡ペア、4番(シングルス)鈴木、5番(ダブルス)水澤・藤城ペア。前日のミーティングではそれぞれが意気込みを語った。鈴木「緊張はするけど、自分らしく元気よく」。白崎「プレッシャーはあるけど、2人で1本」。水澤「初めての国際大会。今のベストを出し切る」。赤川「国際大会に出ることを目標にしてきた」。平岡「試合が楽しみ。自分がチームのムードを作る」。藤城「いつものライバルたちが仲間、心強い」と語った。こちらからは「日の丸を背負うという意味では、一つの到達点ではあるが、ゴールではない。今までにないほどの大きなチャレンジの場であり、ゆえに大きな成長が期待できる。これからの自分に成長の種をまいてこよう」と伝え、勝利と成長への意志を確認した。彼女たちの発揮力は期待を超え、⑤-1、2-④、⑤-1、④-2、③-0(途中棄権)と完勝。2番シングルスの水澤が敗戦したものの、チャレンジをし続けた好ゲームであった。その他の対戦は失ゲーム数も少なく、力の差を見せつけた。5番での途中棄権は過酷な暑さの中、韓国選手の体調不良で棄権となった。棄権した選手は2番で水澤に勝利した相手であったが、水澤とのゲームで力を使い果たしてしまったとも考えられた。コンディショニングを調整してくれている工藤トレーナーがいてくれていることの心強さと、選手たちの総合的な強さを感じられ、とても誇らしく感じた。それと同時に、ここまでに至るまで彼女たちの成長に携わってきた指導者の方々はもちろん、家族はもとより彼女たちの人生というドラマに関わってきた方々全てに対して感謝の念が押し寄せた。
26日、中国戦では、1番水澤・藤城ペア、2番赤川、3番鈴木・白崎ペア、4番水澤、5番赤川・平岡ペアとオーダーを変えて対戦。昨年までの試合ぶりを見ると、中国代表の競技力は劣っていると感じざるを得ない状態であった。しかし、日本代表の誇り、ソフトテニス先進国として、フトテニスの素晴らしさを、競技を通じて伝えてこようと誓い全力でプレーした。結果は圧勝であったが、勝利以上に得るもの、そして与えることができたことの方が遥かに大きく感じられた。その実感は、競技後の両国選手達の表情とやりとりから明らかだった。
27日、地元の長沙市戦。1番水澤・平岡ペア、2番赤川、3番鈴木・白崎ペア、4番平岡、5番赤川・藤城ペアのオーダー。変化を恐れず、最後までチャレンジを望み続けた。結果は失ゲーム無しで完勝。素晴らしいパフォーマンスで締めくくることができた。やはり挑戦している選手は強い。そして魅力的であるということを彼女たちはこれ以上ない場面で示してくれた。
今回、日の丸を背負った選手たちは、再度日の丸を背負うことを強く望んでいる。今回選考されなかった選手たちも、彼女たちの姿勢や経験談、そして、この報告で日の丸を背負うことの価値を感じてもらえればうれしく思う。
この交流大会に携わってくださった方々、また協力してくださった方々に心から深く感謝申しあげます。支えなくして舞台は成り立たないことを痛感しております。有り難うございました。
ソフトテニスの素晴らしさを、ソフトテニスに対して純粋な、そして魅力たっぷりな選手たちから再度教えてもらえました。彼女たちのさらなる成長と、ソフトテニスの発展に期待します。
◆ライバル達が1つのチームになってチャレンジ精神で相手に向かっていけた
藤城 みちる
今回の国際大会は2回目で、前回はU-14の時に出場しましたが、環境に慣れず、思うようなプレーができませんでした。なので、今回の大会ではチームを引っ張っていけるような存在になりたいと思い、臨みました。
事前合宿からキャプテンという立場でたくさんの気づきの機会を与えていただきました。日の丸を背負う選手の一員として国際大会で勝つことの責任や、ソフトテニス先進国である日本としての相手国への振る舞い、また普段とは違う環境の中で勝つことの難しさと国内大会とは違う雰囲気での気持ちの作り方も学ぶことができました。
U-17に入って、2回の合宿をした中で選手1人ひとりのプレースタイルや性格をしっかり見ていてくださった髙井監督に「優勝報告をしよう」という強い気持ちが自分の中にありました。
篠原さん・工藤さんの熱いご指導・ご声援に加えて、普段はライバルの選手が1つのチームになって、どんな相手に対してもチャレンジ精神で相手に向かっていけたことがこのチームの強みでした。
他国の選手の試合運びはリズムが掴みにくく戸惑うこともありましたが、代表選手として試合をすることにとてもやりがいを感じ、この大会を通して、日本代表になりたいという気持ちがさらに強くなりました。
今回の経験を生かし、今後の競技生活だけでなく、私生活も自覚を持って行動し、日本代表になり、金メダルを目指す選手に相応しい人間に成長したいです。
◆どんな環境でも試合に挑む状態を作り上げないといけない
平岡 琴恵
私は、国際大会に出場するのが小学生のころからずっと目標だったので、その場で試合することができてとても良かったです。
今回の経験から、私が一番強く思ったことがあります。それはどんな環境でも試合に挑む状態を作り上げないといけないということです。そのためには、技術は必要不可欠だけど、それ以外にもメンタル面でもっと強くなる必要があるし、フィジカル面でももっと強化する部分が私にはあると気付かされました。
期間中の食事面でも日本とは違うところが多くあり、1日目はほとんど食事が食べられませんでした。しかし、食べないと体力がなくなって、ベストパフォーマンスを出すことはできないなどの悪循環になると思ったので、頑張って食事を食べるようにしました。日本代表になるには、そういった食事面でも上手く対応していかなければいけないということも分かりました。
他国の選手と試合をしたりする中で、『やはり恵まれた環境の日本でソフトテニスができること。指導者がいてくれることはありがたいことなのだな。当たり前じゃないのだな』と強く感じました。これからもそんな日々に感謝しながら、日本代表になるべく自分の目標に向かってソフトテニスを続けて、いつかはソフトテニスの競技者育成に励んでいけるような指導者になりたいと思います。
◆今回の経験を生かし、日本代表になれる力をつけたい
白﨑 ひかる
今回、日中韓のメンバーに選ばれることは、私の1つの目標でもありました。その目標を達成し、普段ライバルである選手と日本代表というチームで戦うことができ、とても楽しかったです。
また、日本代表で試合をすることは、普段以上にプレッシャーを感じましたが、そのプレッシャーを楽しんで試合をすることができました。海外での試合は、相手の情報がない分、普段よりやりやすく、相手に向かっていく気持ちを忘れずプレーできました。
日本で試合をする時は、サーブレシーブのことやボレーのことなど技術面のことを考えることが多かったですが、今回初めて海外で試合をして技術よりも日本代表として絶対に負けたくないという強い気持ちを持ち、気持ちで相手に負けないということを学ぶことができました。試合をする中で、韓国選手のバックがすごく綺麗で、スピードや球の重さがフォアと同じぐらいだったことが印象に残りました。身体やラケットの使い方など、見て学ぶ部分も多くありました。
3ヶ国で交流した際には、他の国の選手と仲良くなり、異文化の違いについて知ることができました。交流の中で、韓国の選手が1日8時間練習していると聞き、驚きました。日本とは違う練習をしていると思うと、とても興味を持ちました。今回、試合だけで他国の練習を経験することができなかったので、機会があれば経験してみたいです。
今回の経験は、私のソフトテニス競技生活の中で大きな財産になりました。今回の経験を忘れることなく、もう一度日本代表に選ばれるよう、日々の練習や試合を頑張っていきたいです。
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