大会終了後、選手に4つの質問に答えていただきました。
①大会参加の目的と達成感
②国内の大会との大きな違い
③この大会でさらに学んだこと
④今後の自分が国際大会に出場するにあたって強化しなければいけないこと(技術以外)
■泉谷 朋香(ヨネックス)
① 今の自分のレベルが国際大会でどれだけ通用するか明確に知る事を、目的に参加しました。実際、韓国の選手と対戦する機会は少なかったですが、世界で勝つ難しさや1本の大切さを思い知りました。国際大会となると国内とは違う緊張感の中試合するので、いつもとは違う中で戦うメンタルの強さもまだまだ必要だと思いました。国内とは違う課題もたくさん見つかり、良い経験をさせてもらって良かったです。この経験を無駄にしないよう、常に国際大会で戦うイメージをしまだまだいろんな事に挑戦し続けていきたいです。
② 海外での大会は試合の進行などが急に変わったりして、本当にいつでも試合をできるコンディションを整えておくのが大切だと思いました。また、今回は屋根つきコートという事でそれほど風や雨などの影響はありませんでしたが、気候や温暖の変化などにも対応出来るようにコンディションの調整もしっかりとしておかないといけないと思いました。
③ 韓国の選手は、前衛でもシングルスの強化がしっかりされているなと思いました。今大会はクレーコートという事で最近日本では減ってきたサーフェスですが、ボールが落ちてから伸びてくるということを予測して早く対応できる準備をやっていかなければいけないと思いました。また自国では無いということで、多少アウェイ感もあったのでその場の雰囲気にのまれないような対策とメンタル強化が必要だと感じました。
④ 基本中の基本ですが、サービスとレシーブの強化がもっと必要だと実感しました。最低限のレベルをもっと上げないと、特に韓国には勝てないと思います。今回のデータでファーストサービスが入っているポイントは取っていて、セカンドサービスになるとポイントを取られるというデータも出ました。サーブの重要さを再認識させられました。レシーブでは今回はクレーコートという事もありいつもよりボールが伸びてきて、重心が後ろに残ったままストロークを打ち、前にいくのが遅れる事が多く先に攻められたり、レシーブを返すだけになる場面がありました。レシーブを踏ん張って打つこと先手を取れると思うので、少し厳しいボールでもリスクを背負って打って前にいけるように強化しなければならないと思いました。今回、サービスとレシーブだけで試合の勝敗が決まるほど重要だと実感しました。さらに、試合になると考えすぎて抜かれてもないのに消極的になってしまって足がとまってしまう事がありました。ゲームのスタートからフィニッシュまでエネルギッシュな動きが継続的に行えて、後衛の調子次第で勝敗を左右されるのではなく、自分の動きで試合の勝敗を決めるくらいの大きな存在感を持った前衛を目指します。
■半谷 美咲(どんぐり北広島)
① コリアカップに出場させていただいて本当にいい刺激を受ける事が出来ました。
② 今まで国際大会に出場した事がなく、コートの外から見たり画面を通して映像で見るのとは違って、直接自分の目で見て感じる事が出来たのは自分自身にとって大きな収穫となりました。
③ 韓国選手のシングルスを見て感じた事は、体幹の安定性とコートのカバー力、そしてバックストロークの攻撃力が日本と違うという事。今回はクレーコートで足元が不安定だったり、ボールが滑ってきたりと普通にやるには少し難しい環境でしたが、その中でも韓国選手の体勢が崩れている場面はあまり見られなかったし、次のボールへの寄りが速かったです。そして、少しでも甘いボールが入ってしまうと、先に打ち込まれてこちらから仕掛ける事が出来ない状態でした。これはダブルスにも共通して言えることだと思いますが、後衛が主体でフォアもバックも打つ事を得意とする韓国に対して、打たせない戦略を立てて徹底する事が必要だと感じました。
④ 翌日のスケジュールが決まっていなかったり、当日に予定が変更になったりする事が多々あった。いつでも試合に入れるように、頭と心、体の準備はしておかないといけない。ONとOFFの切り替えをしっかりして、コート外でもコート内でも自分自身をコントロールする力がとても大切だと感じました。
韓国選手は年に4ヶ月程しか自宅に帰らないという話を聞き、日本選手との生活自体の違いを改めて感じました。その選手達に勝つには、戦略とそれをやり切れる精神力と技術が必要になります。
この1週間で感じた事、自分で気付いた事、または試合で通用した事、失敗した事、今回の経験を今後の取り組みに変えていきたいです。
■中川 瑞貴(ナガセケンコー)
① 今大会は来年のアジア競技大会に向けて、今の自分がどこまで韓国に通用するのかを確認することを目的として参加しました。私は韓国Aチームとダブルスで対戦することはできませんでしたが、他の日本チームと韓国との戦い方を見ることができたのは大きな経験となりました。
② 大きなプレッシャーの中で、いつも通りのプレーをできないのが国際大会だと思います。技術はもちろんですが、メンタル面が強くないと勝てない大会だと思います。
③ やはり韓国の選手のバックの上手さ、力強さを感じました。その強さを発揮させないこと、それを超える強さのあるプレーを自分のものにし、自信をもって戦うことが必要だと思いました。そして、どんな環境であっても自分の力を発揮できる力を身につけなければ勝てないと感じました。
④ 韓国に力負けしないようにフィジカルを強化すること。これだけは誰にも負けないと思える技術を身につけること。そして、どんな環境でも、どんな相手でも自分のペースで戦える、対応力を身に付ける必要があると思います。
■林田 リコ(文大杉並高校)
① 韓国選手のプレーを間近で見て、そして戦って、プレースタイルを学んで、研究して自分のテニスがどこまで通用するのかを試す、というのが今回の一番の参加目的でした。国際大会は3度目でしたが、今まではアンダークラスの大会で、ナショナルクラスの国際大会は初めて。「このチャンスは絶対に逃してはだめだ!」と思い参加しました。
② いつもは試合中、それほど緊張することがありませんでしたが、特に団体戦は言葉では表せないくらい緊張しました。もう視野が狭くなってしまって自分のテニスができなかったし、ベースラインから5メートルくらい大アウトもしてしまいました。そのくらい緊張したのが国内大会との違いでした。やはり、日本代表として戦うということの重さを実感しました。
アジア競技大会や、世界選手権ではない大会ですが、これほどまで緊張するということは、きっと来年、インドネシアで行われるアジア競技大会は比べものにならないのだろうと思います。
しかし、今回の経験は自分にとってすごく貴重な経験です。1回でも、「経験できた!」ということがものすごく大きいと思います。今までも所属が変わって初めての試合は緊張して力を発揮することすらできませんでしたが、2回目からは反省を活かすことが出来ました。次の国際大会に出場できる機会があったらもっとリラックスして臨みます!
③ 技術の差が、一番出たなと思うのはバックハンドです。韓国選手はバックハンドを回り込んでまで打っていました。バックハンドで、思いっきりアタックしたり、シュートとロブを自由自在に打ち分けていたのに、もう感動してしまいました。自分もこうなりたい!と思ったし、超えてやる!と思いました。やはり、もっとたくさん練習してフォアハンドの感覚でバックハンドを打てるようにならなければなと強く感じました。
また、ソフトテニスを通して国外の選手とも交流できました。英語で話をすることも出来たし、そこから色々知ることも出来ました。外国人と接することは普通ならあまりないですがそれができたことも嬉しかったし、ソフトテニスのおかげだなと感じました。
④ 自分の目標は来年のアジア競技大会の日本代表(5人)に入って、優勝して日本国民を喜ばせることです。今までは全然分からない世界だったけど、今回韓国に行かせて頂いて、目標が定まった気がします。まずは国内でのメンバー争いがあると思うので、年下だからと言って負けずにどんどんアピールしていきたいと思います。
■高橋 乃綾(どんぐり北広島)
① 海外の人達との初めての試合で緊張はもちろんありましたが、自分達のテニスが海外の選手にどこまで通用するのかが目的でした。シングルス・ダブルス・国別の3種目に出場してシングルスは韓国に敗れたのですが、日本のテニスと韓国のレベルの差がすごくあり、自分のやりたいことが出来ませんでした。ダブルスに関しては、対韓国戦で2人が前に出るプレーをすることが出来、自滅することも少なく自分達のプレースタイルで戦うことが出来ました。
② 日本の大会と違って、「レッツプレー」がなく自分達がリードしている時に韓国の選手は間を取って流れを変えてくること、1ポイントごとにアドバイスしてくること、日本はお互いのミスでポイントすることが多いが、海外の選手は自分達のミスが少なく決めてポイントすることが多いと思いました。
③ シングルスに関しては、切り返しのボールの返球のコース→打った後の戻りが速く、打つボールが深い。ダブルスに関しては、海外の選手は前衛がしっかりネットについているからポーチに出てきた時に決めることができているが、日本は中間ポジションに下がっているためポーチにあまりいけないし、行ったとしても決まらない。預けるボールと攻めるボールがはっきりしていると思いました。また、今までは負けている時でも普通の流れで次のポイントに入っていました。しかし、間を取ることで気持ちをリセットすることができ、間を取ることは本当に必要なことだと思いました。試合以外では、日常生活が日本も全く違って不便なことばかりでした。大会の日程もその日にならないと決まらない、その日になってまた変更になることが当たり前のようにあって、これが海外なのだなと思いました。
④ 自分が動かされた時のバックの精度を上げること(攻めるボールとつなぐボール)。切り返しのフットワークと打つ時のスタンスを広げること。ファーストサービスの確率と3球目のボールを確実に決められるようにすること。苦しい場面になった時こそ、どう自分達で乗り越えていくのか。どんな場面でも自分達のプレースタイルを貫くこと。短いボールを切り返す練習。以上のことを課題とし、これをメインに取り組んで出来るようにしていきます。
■尾上 胡桃(日本体育大学)
① 第1回アジアカップということで、日・韓・中やチャイナカップとは違い日本代表として参加する初めての大会でした。チャイナカップで韓国代表の選手と実際に対戦してみて、結果的には負けてしまいましたが、自分でも勝てそうだなという感覚も得ることができました。なので、今回の大会で韓国代表に勝ってアピールできたらいいなと思い、大会に臨みました。しかし、シングルス、ダブルス、団体全ての種目で日本人選手に負けてしまいました。きっと、国内でやっていれば勝てた試合もあったと思うし、自分の本当の力が出し切れず、不完全燃焼で終わってしまった大会になりました。
② 海外の試合は変更が多く、ジャッジなどのミスも多いことは重々承知していたので特に戸惑いなどはありませんでした。今回のアジアカップで一番感じたことは、メンタルの作り方の難しさでした。海外での試合になるので団体で行動することが多く、1人になることがほとんどありません。国内では1人の時間を多くとり、アップも特にシングルスは、人目があまりないところで行うことがほとんどです。なので、1人になって集中力を高めるということが難しく、実際に試合でも緊張感や張りつめた感じもなく、それをはねのけた後にくるワクワク感も感じることなく、コートに立ってしまっていました。ご飯も現地のものは基本的には食べられるし、どんな環境でも寝ることができるので、海外で生活するのは苦になりません。しかし、試合に入る前の自分のルーティーンが国内での試合と同じようにできないので、そこが私にとっての国内大会との大きな違いでした。
③ 国内大会と同じように自分の緊張感を高め、ワクワクした状態で試合に臨めませんでした。何とか克服をしようと、他の選手がどうしているのかを観察してみました。すると、明らかに自分の世界を作り1人で行動をしていたのが、男子日本代表の船水雄太選手とワタキューセイモアの七尾選手でした。船水選手は、日本のベンチでも仲間と少しだけ距離をとって待機していました。七尾選手は、団体戦であっても他の選手がまだアップをせずベンチに座っている中、1人黙々と縄跳びを跳んで集中力を高めていました。
一方、韓国の選手は1人になることが少なく、試合の合間は男女関係なく楽しそうに話をしていました。コート付近で待機する時も、1人で集中力を高めようとする選手はいませんでした。
船水選手や七尾選手のように、国内と同じように自分のルーティーンを作れるようにするのが一番ですが、韓国選手のように周りに人がいても、自分のやるべき事をきちんとこなし、気持ちを高めていけるようにもならないといけないなと思いました。
④ 前述したように、どんな環境でも自分の世界を作り、集中力を高めることができるようにする必要があります。
来年のアジア競技会まで国際大会はもうないので、校内戦や国内の大会を利用し、海外の試合をイメージして試合に入るまでのルーティーンのパターンを何個か用意するようにします。技術面では、前々から言われていますが、サービスとレシーブの強化が一番だと思いました。サービスを入れられると、やはりレシーブ側は守りから入ることになるし、逆に自分のサービスが入ればリズムもつかみやすくなります。強いサービスだけでなくしっかりとコースをつけるように強化していきたいです。また、シングルスでは、緩急をつけた試合展開を組み立てることです。今回はクレーコートでの試合だったので、相手の球が滑ってきました。その為、同じタイミングで同じような軌道の球を返すことができませんでした。私自身も、韓国の強打をいかに後ろに下がらずに打ち返せるかが、勝利への鍵だと思っていました。
しかし、男子シングルスの決勝で船水颯人選手は、韓国人選手相手に強打も含めショートボールやスライスボールを使って、相手に同じタイミングで打たせないようにしていました。押し込むボールばかりではないので、緩い球を打った時の次の球の反応の速さや、態勢が崩れた中でも打ち返すための下半身の強化が必要だと思いました。
アジア競技会まで、国内の重要な大会はいくつかありますが、アジア競技会に標準を合わせて、進化することだけを考えて練習やトレーニングに励みたいと思います。
記事提供:日本ソフトテニス連盟<機関紙2017年9月号より>
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